特産品燻製イラブー

沖縄の特産品といえばちんすこうや紅芋タルトなど有名なものが数多くありますが、独自の食文化を築いてきた沖縄だからこそ味わえる意外なものもあります。その代表的なものの一つに沖縄の離島久高島の特産品イラブーが挙げられます。このイラブーが実はさまざまな効能があります。

イラブー?

まず、そもそもイラブーとは何かについてお話します。イラブーとは「エラブウミヘビ」という毒蛇のことで、その毒は本ハブの70~80倍の強さといわれ、噛まれると死に至る場合もあるほどです。しかし、本来は穏やかな性格で、素手で捕まえたりしない限りは噛まれることはありません。体長は70~150㎝あり、主に南西諸島の海域に生息していますが、近年では温暖化の影響で九州や四国地方でも確認されています。ウミヘビという名前ではあるものの陸上で行動することが多いため、ほかのウミヘビと比較すると海で生活し始めたのは比較的後になってからと考えられています。現在では、乱獲や環境の変化によって個体数は減少傾向にあり、絶滅危惧Ⅱ種に指定されています。

加工

イラブーは、主な加工方法として干物や燻製にされることが多いです。それらを使ったイラブー汁や、イラブー一匹を丸々泡盛に付け込んだイラブー酒などは、昔から久高島の保存食として地元の人たちに慣れ親しまれてきました。他にもイラブーの佃煮などは冷奴やご飯に乗せて食べると絶品です。イラブーはさまざまな加工のもと、たくさんの方に愛されているのです。それでは次に、その加工方法や食材としての歴史、効能について詳しくお話しします。

イラブーの成分

 

イラブーにはどのような成分が含まれているのでしょうか。ただ、体に良いという言い伝えだけではなく、実際にイラブーには実に様々な栄養が含まれてます。イラブーは陸にあげ餌を食べずとも一年ほどは生き延びることから、滋養強壮に非常に効果があります。その滋養強壮に効果的であるとされている成分としては、体内では生成できないアミノ酸やドコサヘキサエン酸などです。その他にもカルシウム、マグネシウム、ビタミンA、D3などのビタミン類を豊富に含んでおり、科学的に疲労回復に効果があることも実証されています。

また、滋養強壮、疲労回復の他にも、これらの成分から骨格の形成や高血圧の予防、がんの抑制作用にも効果があると考えられています。その上、イラブーから抽出されるエキスには、更年期障害などの神経系疾患の改善する働き、間接痛の緩和や血流をよくする効果もあるなど、中国でイラブーが不老不死の薬と呼ばれていたことにもうなずけるほどの、数多くの効能を持ち合わせています。

このように様々な効能を持つイラブー。見た目はすこし抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、本土ではなかなかお目にかかれない伝統的な高級食材です。歴史深い本場の久高島の燻製イラブーに、沖縄の方たちの健康と長寿の秘訣があるのかもしれません。

干物と燻製

 

イラブーの主な加工方法には、干物と燻製があります。食べ方としては、一度乾燥や燻したものを戻して食べるイラブー汁がメジャーですが、そのほかにも、イラブー一匹を丸々泡盛につけこんだイラブー酒などもあります。

久高島とイラブーの関わりは、500年ほど前からとかなり古い歴史があります。そもそもイラブーは、沖縄では琉球時代から伝わる最高級の伝統料理として知られています。久高島では、現在でも琉球国王に献上する時と変わらぬ手間をかけた燻製の技法が伝えられています。その捕獲や加工自体も、以前は、伝統的に神事に携わるノロにのみ、産卵のために上陸したものを採捕する漁業権が許されてきたという、非常に神聖な行為でした。

イラブーの捕獲は現在でも素手で行われ、燻製は神聖な小屋で7日間もかけて行われます。琉球時代には滋養強壮の薬膳として非常に貴重なもので、庶民は食べられないほどの高級食材でしたが、現在は久高島のいくつかのお店で一般の観光客も食べられるようになりました。しかし、イラブー料理は調理に手間と時間がかかることから大変高価であり、本場久高島であっても提供しているお店自体も多くはありません。しかし、血の巡りを良くし、免疫力まで高めてくれることが昔から言い伝えられている、そんな食材ならばたとえ高価であっても一度は食べてみてください。